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(SDGs部)第4回高校生が競うエネルギーピッチ参加

部活動

11月19~20日に静岡市グランシップで行われた第4回高校生が競うエネルギーピッチに部員5名が参加した。前回大会では、現高3OBたちが”太陽光窓ガラスによる発電”を提唱し優秀賞(2位)を受賞した。しかし、それに至る過程は、順風満帆ではなかった。今年はどんな展開が待ち受けているのか?!

 

 

今年は、まず小水力というキーワードに着目した。最初の案は「トイレの水力を使った発電」だ。例えば、開誠館本館の9階建て校舎にはトイレが男女合わせて14ヶ所ある。未来館には6ヶ所、アリーナ棟等に5ヶ所ある(全て当部調べ)。合計25ヶ所のトイレで使用される水力で発電すれば、総合的にはある程度のエネルギーが生産できるのではないか、という案だ。そこで企業の方や有識者とオンラインフィールドワークを行い、意見をもらうことにしたが、どれも厳しい意見だった…。実現可能性はどれくらいあるのか、先行事例や先行研究はなされていて導入実験はなされているか、そのエネルギー量でどれだけの電力が産み出されるのか、費用対効果がある程度担保されないと導入できないのではないか。発表メンバーはプレゼンの内容を変えざるを得なかった。次に彼らが着想したのは、小水力発電全般の普及だった。小水力のメリット、デメリットを調べてプレゼン作成を行った。

 

 

やってきた11月19日、静岡市グランシップで行われた予選会。審査員からはやはり厳しい意見が多かった。「問題解決になっているの?」「具体例がなくてわからない」その一方で、オリジナリティやメリットの説明を評価するコメントもあった。予選会が終わり、すぐさま発表メンバーたちは審査員で東京大学大学院情報学環准教授の開沼博先生に直撃してフィードバックをお願いした。開沼先生や常葉大学名誉教授の山本隆三先生から丁寧な指摘・提言をいただき、再びプレゼンの修正に着手した。気づくと夜も更けて、9時を過ぎても会議室でプレゼン作成を行なっていた。高校生ボランティアアワード全国大会もそうだったが、今年のSDGs部はどんな状況でもユーモアを持って(いい意味でも悪い意味でも)余裕があるように思える。大変な時でも冗談を言い合いながら作業できる、前向きに頑張る姿勢が部員たちから見て取れる。昨年も予選が終わってから、ホテルで一晩かけてプレゼン内容が研ぎ澄まされ、本選では見違えるような進化を遂げた。今年もおそらくそうなるだろう。指摘をもらったあとの発表メンバーの目には輝きがあった。「探究において重要なことは、問いを立て解決していくストーリーを描くことです」開沼先生からいただいたアドバイスを胸に、彼らの探究の扉が今開かれようとしている。

 

 

予選プレゼンから一夜明け、SDGs部発表メンバーは静岡市内のホテルから再び本選会場のグランシップに向かった。前日は午前1時まで、膨大なダメ出しの付箋を整理して、審査員のコメントを思い出しながら、2050年を見据えた新しいエネルギーの提案プレゼンを見直した。しかし、当日の朝になってもプレゼンの修正は終わっていなかった。会場の控え室に入ってからもリサーチを再開する部員たち。移動時間ギリギリまで攻防は続いた。

 

 

そして、ピッチが始まった。開誠館は3番目の発表だった。どの学校のプレゼンも前日とは比べものにならないくらい変わっていた。ほぼ徹夜でスライドを半分以上変えた学校もあった。開誠館SDGs部も出せる力を全て出してピッチを行った。発表タイトルは『シン・小水力発電 〜小水力の可能性〜』である。8月8日のオンラインオリエンテーションから準備を始めて3ヶ月半。SDGs部は様々なイベントやディベート大会にも出ていたため、なかなか全員が集まって話し合うことができなかった。しかしそれを言い訳にせず、部員たちは短いようで長いピッチを乗り切った。それだけでも価値のあることだ。あえて課題を挙げるとすれば、それはプレゼン内容というより、事前準備や打ち合わせなどコミュニケーションの部分だろう。チームとしてプレゼンをするので、発表内容全体を全員がしっかり把握した上で個々の作業にあたらなければ、プレゼンは空中分解してしまう。発表メンバー全員が集まる機会が少なかったからこそ、細かなコミュニケーションや連絡が意思疎通をするには必要だった。チームメイトを想いやるちょっとした気遣いが大きな差を生むのかもしれない。俯瞰的な視点で物事を見る大切さも学んだ。結果として、主催者賞(電気新聞賞)を受賞することができた。引退した現3年生の意志を継ぎ、部の歴史を紡いでくれた。

 

2021「太陽光窓ガラスによる発電」

2022「シン・小水力発電」

そして、今回も及ばなかった最優秀賞の夢は2023年に引き継ぐ後輩たちに託された。

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