【1回戦】桐生大学付属(関東3位)1-3浜松開誠館(東海1位)
【開】山下-縣
【2回戦】 長野日本大学(北信越1位)2-0浜松開誠館(東海1位)
【開】山田、嵐田、山下-縣 【二塁打】石野











【戦評】
全国大会初出場した6年前、夢心地なひと時で、あっという間だった。今回は2度目の出場。東海地区の代表として地に足をしっかりつけて戦い、まずは初勝利・・・そんな思いだった。相手は桐生大学附属中学校。関東地区の代表校だ。
3回表に1点を先制され、全国大会の雰囲気にのまれかけたその裏、四球で出塁した小林(二年:幸小学校)を二塁に、申告敬遠された大河内(三年:浅羽北小出身)を一塁に置き、二死から3番木村(三年:浅羽北小出身)がセンター前にはじき返し同点。相手に向きかけた試合の流れを止めた・・・。もしこの一打がなかったら、この試合はどうなったかわからなかった。それほど価値ある一打だった。
6回裏には一死から4番伊藤蓮(三年:大平台小出身)、5番石野(三年:井伊谷小出身)6番山下(三年:井伊谷小出身)の三連打で逆転。二死から8番河合(三年:初生小出身)が三遊間を抜き追加点。3-1。7回表は桐生の粘りにあったが、先発山下がよく踏ん張り完投。全中初勝利を上げた。
2回戦の長野日本大学中学校戦は投手戦になった。先発した山田(二年:船越小出身)をリリーフした嵐田(三年:萩丘小出身)、山下は最少失点でよく抑え、味方の攻撃を待ったが2-0の惜敗。自慢の打線が1安打と抑え込まれ、新チームに課題を残した。しかし、それより何より6月中旬から始まった約二ヶ月に及ぶ今大会において、三年生は大きな大きな財産を残していったことが大きかった。
今チームは、浜松地区新人大会優勝、西部新人大会優勝、静岡県中学校新人野球大会ベスト4、しんきんカップ県中学選抜野球大会ベスト4、全日本少年軟式野球大会浜松ブロック1位、レワード大会優勝、全日本少年軟式野球静岡県大会ベスト4、浜松地区中学校夏季大会優勝、静岡県中学校夏季大会準優勝、東海大会優勝、全国大会出場と過去一番の実績を出した。(32勝/38試合 公式戦勝率.842)しかし、順風満帆とはとてもいえず、浜松開誠館中学野球部が目指すべきチーム像「愛されるチーム」とはどういうチームをいうのかを常に問われ続け、徹底的に鍛えられてきた。今までの先輩たちが積み重ねてきた財産を受け継ぎながら・・・。「練習で積み重ねてきたものが試合に出る」一・二年生はそのことを目の当たりにしたのではないだろうか。言葉だけではなく、実感できたことが何よりも大きい。
長野日大戦終了後、下河邉監督は中3の保護者に感謝の意と敗戦の謝罪を伝えた。すべて自分の責任だと・・・。父母会長はそれに「悔いはありません」と答えた。この一言にどれだけ救われたことだろうか・・・。この一年間、選手たちとしっかり向き合って気持ちをぶつけてきたコーチの石田先生、鈴木優太先生もまた同じだと思う。私はその光景を見ていて、選手、保護者、監督、コーチみんなが報われたんだと思った。不正解は無意味を意味しないのだ・・・。
新チームがスタートする。三年生は一・二年生に超えられないものを残していったのかもしれない。しかし、超えられないものを超えようと努力を続けていくからこそ、意味があり価値がある。そうやって伝統は作られ続けていくのである。


